整体を受ける事で得られる効果や、お客様が期待している効果はどれくらいで現れるのでしょうか?
これは、元も子もない話ですが「人それぞれ」です。しかし、身体の状態や症状の出方などによってはある程度の予測をつけられるものでもあります。
さらには整体の種類によっても効果の出方に違いがあります。
症状ごと、施術ごとの変化について解説いたしますね。
急性症状(激しい痛み)の場合
急性症状とは、ぎっくり腰や捻挫、打撲といったケガを伴う症状の事を指します。
この場合はケガの深さによりますが1回〜3回くらいの施術で効果を実感できる事が多いです。
というのも、端的に言ってしまえばケガは放っておいても改善します。
特に強い痛みがある場合は脳と身体はそれに対する反応を強める為、修復の作用が常に働くわけです。
整体や整骨院ではその改善までの時間を極力早めるような施術を行うわけです。
元々持っている身体の力を借りるような施術になるため、たくさんの回数をかけずとも改善の実感を得られるわけです。
しかし、症状が強いのに無理に仕事や運動をしてしまったり、問題となる日常生活習慣を改善しないなどの問題点があれば時間は掛かってしまうため、なるべく施術者のアドバイスどおりに生活してあげることが、素早い改善までの近道となります。
慢性痛(疾病を伴わない)の場合
ここでの慢性痛とは、肩こりや腰痛といったいわゆる「症状名」はついているものの、「病名」としてはっきりとした問題で無いものを指します。
過去数ヶ月から1年くらいの症状の場合はそこまで問題が進行していない為、改善にもそこまで時間はかからない印象です。
だいたい5回〜8回くらいで効果を実感できる事が多いです。
しかし、施術を進めていくにあたり過去に受けたケガのダメージや、新たな問題が発覚するケースもままあります。
その際はもう少し時間をかけて問題を取り除いていく必要がでてきます。
慢性痛(疾病を伴う)の場合
いわゆるお医者さんにて「〇〇病ですね」と言われる病気を伴っているパターンです。
これは症状を呈するまでに数年〜数十年かけて問題を蓄積しているパターンが多いため、改善にもかなりの時間がかかる事が多いです。
これは何回くらい、という定義はできずその人の辿ってきた人生の歴史を紐解くことで判明してきます。
そもそもとして、ひとつの疾病が形成されるまでにはそこにかかる応力つまりは、
仕事でかかったダメージ、ケガや事故で受けたダメージ、出産や育児などで受ける諸問題、趣味で起こったトラブル、人生単位での運動量、睡眠や食事といった生活サイクルの異常、
等様々な問題が関わります。
さらにそこに時間が加わり、重力を受ける時間と比例して少しずつ疾病が作られるのです。
そのためそれを改善していくにも複雑に絡み合った紐を解きほぐしていくように長期の時間が必要となってくるわけです。
少なくとも十数回の施術を要し、1年以上の施術になることも珍しくありません。
できればそのような複雑な状態になる前に、整体などに相談して問題を作らない為のからだづくりをしていけるのが理想ですね。
1回の施術で楽になる!の罠
「あそこにいくと1回受けるととても楽になる」という整体も確かに存在します。
しかしこれには少しカラクリがあります…。
もちろん、長年研鑽を積んだ施術者には安全に症状を取り除く事が出来る方がいるのは確かです。
ただ、そういった人はそう多くなく、多くの施術者は“トリック“を使って1回の施術で効果を出しています。
それは簡単に言えば「壊す」ことです。
例えば、整体のイメージである「ボキボキする」という施術ですが、これは実際のところどういう事を行っているかといいますと
関節にかかっている減圧という力(関節が引っ張られている状態)をさらに強烈な減圧をかけることによって強制的に圧力を抜いています。
つまり身体の防御反応として、強く引っ張られると縮むという力を無理やり引き起こしているわけです。
そうするとたしかに一回の施術でスッキリとし、楽になった感覚を得られます。
しかし、無理に関節を引っ張ることによって微細な繊維組織は引きちぎられ、正常な組織にまで問題が引き起こります。
さらには関節面(骨と骨がくっついている部分)にも強い力がかかるため、少しずつ関節面が削り取られていきます。
そうすると、関節内潤滑(関節液という水)の効果が低下し、関節運動自体に問題が生じてきます。
だんだんと動きの悪くなる関節も、またボキボキッと力をかければ「一時的に」動きが復活します。
これを繰り返すことによってだんだんと「改善することのできない症状」というものが作られてくるのです。
これが一回の施術で効果を出す施術のトリックの一つです。
これ以外にも過度に強い刺激を加える施術等、様々なテクニックが存在します。
たしかに今の辛さが1回で改善するのはとても魅力的です。
しかし、これから続く長い人生に少しでもダメージを残したくない、そんな気持ちがあるのであれば
こういった過度な外部刺激はなるべく避け、身体を壊さない為の整体や習慣を見つけてあげることこそが、「正しく改善する」ということに繋がってくると私は思っています。