『骨盤矯正』を謳う整体院はとても多く、なんとなく「骨盤がゆがむと身体もゆがむ」という認識を持っている人も増えてきました。
そもそも骨盤とはどういった機能を持っていて、なぜ問題が起こるのか、という所が大切であり実は歪みというものとても曖昧な定義になっています。
ここでは正しい骨盤の機能をおさらいしていきます。
骨盤は歪まない!
いきなり本質に対しますが、結論から言いますと骨盤が歪むことはありません。
正しく言えば骨盤が歪んでいたらそれは「骨折・脱臼」の類になります。(そういう意味では、交通事故や高所からの落下事故などにより歪む可能性は存在します。)
ではなぜここまで「骨盤の歪み」というのは一般的になったのでしょうか?
足の長さを診られる
ベッドに横になり、足を揃え足の長さを測定する、という検査を受けたことはありませんか?
確かに左右ではっきりと足の長さの違いがあると『歪んでいるのかも?』と思われるでしょう。
しかし、それがすべて骨盤から引き起こっているかというとそうではありません。
少し実験をしてみましょう。
・地面に足を伸ばして座ります
・片方の足をもう片方の足よりも奥の方へ伸ばしてみましょう。
・足を元の位置に戻して、今度は同じ足を外側(がに股)に開きながら奥の方へ伸ばしてみましょう。
・もう一度足の位置を戻して、最後に今度は内側に閉じながら伸ばしてみましょう。
いかがですか?
足を外側へ開いたときは、足は奥へ伸びやすく、
足を内側へ閉じたときは、足は伸びにくい
そんな感覚があったと思います。
この足の捻れが日常的に起こることにより、だんだんと足の長さが違って見えるようになってくるのです。
これは股関節、足関節、膝関節、腰、骨盤すべてを含んだ問題であり、骨盤だけの問題で引き起こるわけではありません。
一般的にイメージされてているような骨盤がガタガタに歪んでいるような問題ではないのです。
肩の左右の高さを測られる
整体などでは鏡や写真を用いて現在の身体の様子を観察したりすることがあります。
その際によく診られる部分として肩の高さがあります。
確かに左右で肩の高さが違うと、身体が歪んでいると認識しますよね。
肩の高さは背骨が横に倒れることが原因となってくることが多く、骨盤が原因といえばそれは間違いでは無いのですが、こちらも骨盤と一緒になって動く背骨やそこからつながる鎖骨、また肩と一緒になって動く股関節の働きなど、様々な要素が関わってきます。
そこには単純な歪みという概念ではなく、左右での関節の働きの差や日常生活における動き方のクセや姿勢、スポーツ、趣味など様々な要因があります。
そのため肩の高さが違う=骨盤が歪んでいるというのは、木を見て森を見ないようなもので、本質ではありません。
実際に起こる骨盤の問題とは?
それではなぜここまで骨盤は大切であるという事が浸透したのでしょうか。
事実骨盤は身体の中心であり、様々な動きの起点となることからとても大切な器官であることは間違いありません。
そもそも骨盤は稼働体であり、左右の仙腸関節、恥骨結合といった関節が働くことによって機能しています。
特に歩行時の動きやバランスを取る動きの時に強く働いており、何かしらの異常によって左右の関節の可動域に差が出てしまうときがあります。
これを身体で感じ取ると、「歪んでいる」という認識になるのです。
ですから、ただ単に骨盤の位置を元に戻すような施術や、肩の高さを元に戻す「位置に対する施術」はあまり意味がなく
あくまで『骨盤はどういった機能を持っていて、現在この機能が失われている』という考えをベースに施術を行わなければいけないのです。
当店で行う骨盤矯正
以上のことから、当店では位置を元に戻すような骨盤の施術は行っておりません。
あくまで骨盤の『機能』に着目し、どういった経緯でその機能を失ってしまったのか?を正しく理解し、
そこから起こる関節の動作不良を運動療法などの動きの中から取り戻すという施術を行っています。