目次
もくじ
①、四十肩をケアする、とは?
①-1、ストレッチと四十肩の関係性
①-2、四十肩の進行を食い止める方法
①-3、四十肩を改善する為の方法
②、四十肩は冷やす?温める?
②-1、四十肩の痛みは「炎症」である
②-2、四十肩のアイシング方法
③、そもそも四十肩とは?
③-1、四十肩の実態
③-2、肩の靭帯構造
④、四十肩を悪化させてしまう、とは?
④-1、首と四十肩の関係性
④-2、生活スタイルと四十肩の関係性
⑤、まとめ
肩が上がりづらくなってしまい、病院で四十肩・五十肩と診断を受けた後にこんなことでお困りではないですか?
- 肩がどんどん動かなくなっていって不安になる
- 自分でも動かさないともっと動かなくなってしまうんじゃないか?
- 湿布や痛み止めでは限界を感じている
- 自分でケア、改善をしていきたいがどうしたらいいのか分からない
四十肩のケアは間違った事をしてしまうことでかえって上がりづらくなってしまったり、痛みが強くなってしまったりする場合がある為、注意が必要です。
その為に必要なことを中野区鷺宮の鍼灸師が解説をしていきます。
①四十肩をケアする、とは?
今までご自分や施術院などで四十肩・五十肩(以下四十肩)のケアをしてきた際に、どういった事を行われたでしょうか?
ストレッチ、セルフマッサージ、アイロン体操、棒上げ体操などがよく用いられるケア方法です。
しかし、このような体操をしてもなかなか結果を得られていない場合もあるのではないでしょうか?
ここでは、セルフケアの方法や自宅で行える四十肩に効果的な体操、症状を抑えるのでなく、改善する為の方法などを詳しく解説していきます。
①-1、ストレッチと四十肩・五十肩の関係性
四十肩になった場合に良く訴えられるのが
「肩周りの筋肉が固くなっている気がする」
ということです。確かに肩が上がりづらくなってくると筋肉が固まっているような気がしてきますが、実際のところは少し様子が違います。
④、そもそも四十肩とは?で解説しているので気になる方はそちらを先にご覧になってください。(スクロールが必要です。)
筋肉や筋膜以前にそれを拘縮させてしまう原因があり、さらにはそれらの根本原因となっている事象がある事を考えると
ストレッチで筋肉を伸ばしただけでは効果が出るとは考えにくく、さらにはストレッチで無理に関節を引き延ばすことにより
・筋膜や靭帯に対する怪我の原因
・引き伸ばされることによる2次的な収縮(ゴムを想像してみてください。引っ張ると縮みます。)
・関節内の圧力増加による破壊
等が引き起こされる為、とても危険な行為とも言えます。
基本的に肩関節を無理に引き延ばしたり、強くぐるぐる回したりといったことは避けた方が無難です。
①-2、四十肩の進行を食い止める方法
四十肩という病態は、進行性であり放っておくと少しずつではありますが悪くなっていきます。
四十肩が悪化する原因としましては
・関節内の圧力増加による靭帯の2次損傷
・肩を取り巻く筋肉群の硬直
・炎症増加による関節内のたんぱく質変性
・石灰の沈着による石灰沈着性肩関節可動域障害
などがあげられます。
肩を痛みにより長期間動かさないことにより、肩関節自体の機能が衰えその機能をなくしてしまう(廃用性萎縮と言います)事こそが最大の原因であり
動かなくなったものを放っておく事が一番進行を早める結果となってしまいます。
かといって、無理に沢山動かす事をしてしまうと、前述したとおり危険も含まれる為必要な分効果的に行っていくことが重要とも言えます。
①-3四十肩・五十肩を改善する為の方法
これまで様々な情報を調べたり、聞いてきた人にとっては改善する方法として辛い体操やブロック注射などが選択肢としてあったと思われます。
しかし、あくまで四十肩には「原因」が存在しその原因を作り出すことになったライフスタイルやクセなどが存在します。
それらを動きの中でしっかりと改善し、身体の動かし方のクセを減らしていくことが、シンプルであり効果的な改善方法となります。
ここではそのいくつかの方法をお伝えしていきます。
【正しい肩の動きを出すために】
ひとつ想像をしてみましょう。
肩とは一体いつよく使われているのか?
平均台を渡るとき、普通はどうやってわたるでしょうか?
肩を横に広げてバランスを取りながら渡りますよね?
このように肩の機能のひとつとして「バランスを取る」という役割が存在します。
これはなにも平均台を渡るときだけでなく、普通に歩いているときにも行われていて常に肩関節はバランサーとしての役割を果たしています。
つまりは肩というのはなにも高いところにあるものを取る時やモノを投げるといったときにしか使われているわけではなく、歩く時や走る時、物を持ち上げる時等様々な場面で使われている関節なのです。
その中でも特に肩がスムーズに動き、かつ「正しく」動くときとはどんなときでしょうか?
これが「歩行時」になります。
つまりは普段自転車ばかりで歩いていなかったり、歩く時にいつも荷物をもっていたりするだけでも肩の機能は少しずつ失われ、、、ついには痛みや可動域制限として現れてしまうのです。
正しい肩の動きを出すためには動きの最小単位である「歩行」をしっかりと続けること、これが特に大切になってきます。
それを踏まえた上で、肩関節の動きを安全に出していく方法を紹介・解説していきます。
腕立て体操
いわゆる「腕立て伏せ」を肩関節の動きを中心に行う体操です。
※筋肉をつける為のものではありません!
まずは図のようにポジションを取りましょう。
筋力に自身のない人は図のように膝をついて行って下さい。
姿勢を取りましたらゆっくりと腕立て伏せを行うような動きで体幹を沈めていきます。
この際に肘と肩が一直線になるように(肩が肘よりも前に出ないように)意識して行って下さい。
決して無理に下げ過ぎないよう、筋力によって深度を変えながらゆっくりと10回程行います。
これにより肩関節にかかる捻じれるような負担を抜いていくことが可能です。
さらには姿勢や脊柱の問題の改善にもつながる為、四十肩の早期回復に役立ちます。
ハイハイストレッチ
これはその名の通り赤ちゃんが行う「ハイハイ」の姿勢を取りながらストレッチをしていく方法です。
肩関節の動きの中心核となる「脊柱」「肩甲骨」さらに付随する脊柱起立筋群の効果的な運動を促すための体操となります。
まずは図のように基本姿勢をとります。
その後にゆっくりとお尻を後ろに下げていきます。
※この時顔は下を向けずに、しっかりと前を向いて行いましょう!
次は身体を前側に体重移動していきます。
この時は絶対に無理やり身体を動かす事なく、「動かせる範囲で」動かすようにしてください。
約5~10往復行ったらおしまいです。1日3セット行うようにしましょう。
※痛みが強くなったり関節が捻じれてしまうような感覚があった場合は無理に行わないようにしてください。
②、四十肩は温める?冷やす?
なんとか痛みを和らげたい時に、温めたらいいのか冷やしたらいいのか悩んでしまうことがあると思われます。
基本的には四十肩は「絶対に温めてはいけない」病状です。
必ずアイシングを行うようにしてください。理由も含めて解説をしていきます。
②-1、四十肩は「炎症」である
四十肩とは俗称であり、「肩関節周囲炎」という病名が存在します。
(その他にも石灰化滑液包炎、石灰化腱炎などという名前もつく場合もあります。)
そのどれにも「炎」の字がつく通り、関節や腱に引き起る炎症です。
燃えているものをさらに温めたらどうなるでしょう?さらに「炎」は大きくなり、痛みが長引く原因となります。
他にも、熱によるたんぱくの変性損傷、痛み閾値の不安定さを引き出すなどデメリットがあることからも、四十肩を温めていけない事が分かります。
②-2、四十肩のアイシング方法
アイシングには必ず「氷」を使用します。
保冷材やアイスノンなどの冷媒体と呼ばれるものは、そもそも冷やす能力が低いことに加えて温度が下がりすぎて低温やけどの原因にもなりますので絶対に使用しないようにしてください。
アイシングには図のようなアイスバッグ、氷のうと呼ばれるものを使用するのが効果的です。
そういったものの用意が出来ない場合はビニール袋でも代用が可能です。
まずは氷を適量入れます。
そこに水を加えてよくもみます。Point!
肩関節の前側に直接当てていきます。(氷では低温やけどを起こす事はないので、タオルなどにはくるまないように行って下さい。)
そのまま20分ほど維持します。
20分経ったら外して、10分以上の休憩をとります。痛みに変化がなければまた同じことを20分間行います。
※寒くなったら中断して身体を温めてください。
※最初の5分位は神経が興奮する為痛みが強くなるような感覚がありますが、少しすると興奮がおさまり鎮痛として作用します。
※ビニール袋で行う場合は水漏れに注意してしっかりと口をしばるようにしてください。
多くの人が四十肩の痛みに対して「温める」という行為を選択しますが、実際は温めても痛みをごまかすだけになってしまい、さらには上記したようなリスクも抱えることとなってしまいます。
信じられないかもしれませんが、関節の痛みに対してのアイシングはとても効果が強く今では様々な施術院やリハビリテーション施設で行われているのです。
3、そもそも四十肩とは?
そもそも四十肩とはどういったものなのか、解説をしていきます。
四十肩の実態
上記してあるように、四十肩や五十肩という名前は俗称であり、正式名称を
「肩関節周囲炎」といいます。
その症状は様々で、
- 肩が上がりづらく、服を着替える動作が出来ない
- 夜にズキズキと痛み眠れなくなる(夜間痛)
- 肩から上腕部にかけての重怠い痛みが連続的に続く
等があげられます。
〈日本整形外科学会HPより〉
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html
そのほとんどが「自然ち癒」するとされていますが、期間に6ヶ月~1年以上有する場合が多く、
なによりも痛みが取れた後の後遺症に悩まされる方も多いのが現状です。
後遺症としては
- 肩の無痛性可動域制限
- 腰痛、股関節痛
- 頸部、肩のコリ それに伴う頭痛
- 腰部の可動域制限
などがあげられます。
多くは四十肩を患ってから数年後に出現する為、原因の特定が難しくち癒が困難になっています。
③-2、肩の靭帯構造
ここでは実際に肩がどういった造りをしているのかを解説します。
図の左側をみて頂くと、肩関節を取り囲むように「滑液包」「関節包」といったものが存在しています。
これらは肩関節の潤滑動作を促し尚且つ肩関節部の保護を行っています。
これらの癒着などが引き起った四十肩は、リハビリを重ねることにより回復することが多くなっています。
ただし、包性の癒着なのか、筋腱部の損傷なのかによる痛みをしっかりと見分けなければ改善効果が望めない事がある為、慎重に病態把握をすることが重要です。
また、気を付けなければいけないのが腱板断裂による肩関節痛と、四十肩の痛みを混同しない事です。
腱板とは肩関節を構成する筋腱の一部を指し、主には棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の4つを指します。
《https://scrapbox.io/anatomy/より引用》
この肩関節を支える腱板がなんらかの理由によりちぎれてしまう状態が腱板断裂です。
腱板断裂の特徴として痛み以外に
腕が肩よりも上げることができない
事があげられます。
不自然に肩の上がり方が落ち込んでしまった際には、一度整形外科の受診をすることをオススメします。
④、四十肩を悪化させてしまう、とは?
ただでさえ痛みの強い病態である四十肩は、悪化してしまうことによりさらに強い痛み以外にも、様々な症状を生み出すことがあります。
改善の第一歩としては、「これ以上悪くしない」ことがなによりも大切です。
四十肩の悪化を抑えるためのポイントなどを踏まえながら解説いたします。
④-1、頚と四十肩の関係性
肩が痛いとき、当たり前ですが肩のほうばかり気になってしまいます。
しかし、肩はそれ単体で動く関節ではない為、他の部位特に頚をないがしろにしてしまうと、なかなか施術効果が上がらないばかりか、間違った使い方によって四十肩を悪化させてしまう恐れがあります。
肩関節と直接関係を持つ関節群があらわされています。(これ以外にももちろん関係性はありますが、これが一番わかりやすいです。)
このように肩関節から鎖骨、肩甲骨を介して上部肋骨と頚胸移行部(頚から胸へ切り替わる所)の部分と強調して動くことにより、本来の肩関節の運動が行われています。
裏を返すと「肩が動かなくなるとき、頚と胸の骨も動いていない」ということになります。もちろん逆もまた然りです。
普段から座りっぱなしやデスクワークなどをよく行うかたは、脊柱全体の動きも阻害されている状態ですから、それだけでも四十肩の悪化を引き起こしているといえます。
肩を改善しようとするとき、脊柱へ対するケアは必須ともいえるのです。
このページでご紹介している2種の体操も、どちらとも肩関節と脊柱をバランスよく運動させるものになっています。
④-2、生活スタイルと四十肩の関係性
上記したように、座りっぱなし、デスクワークの方は四十肩が悪化しやすい傾向にあります。
ではお仕事をしていない(家事中心)方や、立ち仕事をしてる方が悪化しづらいのかというと、そうとも言い切れません。
もちろんデスクワークよりはリスクは減りますが、日頃の身体遣いのクセや姿勢、歩行の仕方などにも悪化のリスクは隠れています。
いくつか悪化させてしまう動作をピックアップしてみます。
- 電車、バスなどでの居眠り
電車やバスの座席に座ってついついウトウト…ということは誰しも一度は経験があると思います。
しかし、電車等の「揺れる乗り物」での居眠りは、頸椎や脊柱に強いダメージを加えてしまう為なるべく避けた方が良い事です。
どうしても帰りの電車で眠くなってしまう人は最初から座席に座らずに立って乗るのもひとつの手です。
- 椅子に座るときの足組み、足グセ
こんな風に座ってしまったりしていませんか?
椅子に座る際は背骨や骨盤を支えている「足」を地面から離さない事が肝心です。
図のように地面から足を話して座ってしまうと、体幹部を支えているものがなくなってしまいますから、さらに肩関節部の不安定さを生み出してしまいます。
このようにしっかりと地面に足の裏をつけて座るように心がけてみてください。
- 肩掛けカバンの多用
肩掛けタイプのカバンは毎日使用することで少しずつではありますが肩甲骨から形作られる肩回りのバランスを崩しやすくなっております。
なるべく歩くときなどは手ぶらが望ましいのですが、通勤など、どうしても荷物を持たなければいけない時はリュックサックを使用してください。
なるべく肩に当たるベルトの部分が幅広のものを選ぶと尚良いです。
⑤、まとめ
一言で四十肩といってもそのタイプや病状は様々で、ひとりひとり気を付けることやセルフケアの仕方も変化します。
まずは、安静にし過ぎないように当ページで紹介しているアイシングや、体操などを含めて積極的に肩関節の運動を行うようにしてみてください。
中野区鷺宮の整骨院では、その人それぞれのセルフケアの指導、日常生活の見直し等を含めた上で、
全身の筋連帯の調整や骨格の動きを滑らかにすることで四十肩のお客様をサポートしています。