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病院で「変形性股関節症ですね。」と診断を受けてから、痛みがだんだん強くなってきて不安になっていませんか?
最初に説明しておきますが、
変形性股関節症は施術として正しいことを行えば改善の道を辿れます。
しかし、間違った事ばかりをしてしまうと瞬く間に悪化してしまい歩けなくなった、なんてことにもなりますから注意が必要です。
このページでは何が正しく、何が間違っているのかを中野区鷺宮の鍼灸師が詳しく説明していきます。
※こちらのページで補足を行っています。
①変形性股関節症の人が行うべき事
まずは、「やった方が良いこと」を解説していきます。
テレビや雑誌で紹介されている体操などでは、刺激量が多すぎたりそもそも効果の薄いものが含まれていたりすることがある為、注意が必要です。
ここでは、筋肉や関節どうこうではなく「ヒトとして正しい動き」を追究する事だけを紹介していますので、安心して行って頂いて大丈夫です。
痛みが強い時や、可動域が著しく落ち込んでしまっているときなどは無理をせずに行うようになさってください。
お手軽スクワット
股関節は体重をしっかりと乗せることができる関節です。
歩行時には通常の体重の3倍、走行時にはなんと10倍以上もの体重を支えています。
ここで裏を返してみますと、それだけの体重がかかっても平気な構造を持っているということです。
もっというと、「体重をかけなければ」その機能と構造はどんどんなくなっていってしまいます。
ですから、普段から体重をかける練習やクセを付けていかなければいけません。
このお手軽スクワットはそんな体重をかけるのが下手になってしまった人が、また上手に体重をかけることが出来るようになるための体操ですから、
筋力トレーニングではありません。
なので気軽に行っていただきたい体操となります。
それではやり方を解説していきます。
まずは図のように足を肩幅よりも少し広いくらいに広げましょう。手は胸の前でクロスさせます。足はガニ股にならずに、平行かやや内股を意識してください。
そうしましたら、ゆっくりとお尻を突き出すように腰を沈めていきます。
この時、絶対に膝がつま先のラインよりも前に出ないようにしてください。
ある程度腰が沈んだらゆっくりともとに戻ってきます。
これを10回繰り返します。
ある程度の違和感や痛みは無理をして行って大丈夫ですが、激痛やいつもと違う痛みが出るときは無理をせずに休むようになさってください。
これにより、股関節への体重を乗せる機能を復活させることが可能です。
クロスストレッチ
注意して頂きたいのが、「ストレッチ」と銘打っていますが、実際には筋肉を伸ばす、ということはあまりしないようにして頂きたいこと。
この後にも解説していきますが、変形性股関節症に対して有効なストレッチは種類がかなり限られてくる為、無理に伸ばすとかえって具合が悪くなってしまう可能性があるためです。
それも、病態によって行う方法が変わるどころか、かえって症状を悪化させるものまであるので自分で分からなければ「行わない」のが正解になる場合もあります。
それでは方法を解説していきます。
まずは画像のように足をクロスさせて立ちましょう。
次に胸の前で腕をクロスさせます。
そのまま身体をゆっくりと前に倒していきます。
軽く太ももの裏が軽く突っ張るくらいで静止して(5秒〜10秒)ゆっくりと起き上がります。
足のクロスを左右変えてもう一度同じ様に繰り返します。
注意点としては、息を止めずに行うということです。
鼻から大きく息を吸って、口から細く吐いていくように呼吸を続けて行うようにしてください。
左右で5回ずつほど繰り返して行うようにしましょう。
絶対に無理に強く伸ばしたり、痛みを我慢して伸ばすようなことはしないようにしてください。
腕ふり体操
この体操は股関節と肩関節の関係性を用いた身体に優しい体操です。
まずは、少し想像してみましょう。
大昔、人は4足歩行でした。
これはゴリラですが、人でいうところの肩関節と股関節の部分を見比べてみましょう。
同じ位置(高さ)にありますよね?
このように、肩関節と股関節はとても関係の深い関節です。
つまり、股関節痛の改善をするためには必ずと言っていいほど肩関節の施術が関わってきます。
肩の自然な動きが阻害されることで、同じように股関節の自然な動きもなくなってくるということです。
そこで、肩の自然な動きを出すための方法として「歩く」という行為があります。
歩く時は、必ず肩関節が動き(腕を振り)ます。その時は肩関節も股関節も同様に自然に動きながら運動を行っています。
その時の肩の動きを再現し、なおかつ脊柱や股関節の動きを出すための体操です。
まずはあまり低くない椅子に座り、背筋を伸ばします。
足は地面にしっかりと接地させましょう(POINT!)
その後に肘の関節を約90°に曲げます。
そのまま、元気に歩くときの様に大きく腕を前後に振っていきます。
リズミカルに右・左・右・左・・・と続けて行います。
ポイントは座るときにあまり硬い椅子に座らないことです。柔らかいクッションなどをお尻の下に敷いて行ってください。股関節にかかる負担を軽減することができます。
だいたい1分〜3分ほど続けたら、休憩をとり2セット行ってください。
特に朝起き抜けのときなど、股関節の動きが悪いときに行ってあげることで、優しく股関節の動きを出すことが出来ます。
腕を振っている時に、左右の股関節に体重がしっかり加わる感覚を感じながら行いましょう。
起き抜けの股関節の固さが気になる方はぜひ試してみてください。
①-2 やってはいけないこと
変形性股関節症の方がなるべく行わないほうが良いこと、行ってはいけないことを紹介します。
「絶対禁止」というふうには捉えずに、少しづつ生活を見直すように意識してみてください。
股関節のストレッチ
変形性股関節症になると股関節の可動域が下がり、日常生活に不便が生じるために強く伸ばして少しでも可動域を広げようとしてしまいがちです。
しかしこの行為こそが股関節の機能を落とし、痛みを増幅させてしまう行為であることは意外にもあまり知られていません。
特に図のような外側に股関節を開く「開排動作」はとても危険です。
よくスポーツ選手の股関節の柔らかさを表す表現で使われるストレッチ法ですが、骨盤部の臼蓋(股関節を受け止めている部分)に強いチカラが加わるだけでなく
股関節を安定させる筋肉群の機能を落とす為、正常な関節動作ができなくなる可能性が大いに存在する姿勢です。
股関節に不安を抱える方の多くが行っているストレッチですが、危険な行為の為なるべく避けるように意識をしましょう。
この動きに近くなる「あぐら」もなるべく避けたほうが得策です。
痛みを温めて落ち着かせる「温熱療法」
股関節症は痛みが強く出る場合もあり、痛みを温めることで一時的に落ち着かせることができます
しかし、股関節症に対しての温熱療法はあくまで「一時しのぎ」に過ぎず、筋肉や関節を緩めるといった効果はありません。
それだけでなく、痛みの原因である「炎症」を強くしてしまい結果として痛みを長引かせることになってしまいます。
股関節を形作る臼蓋や大腿骨頭は「関節軟骨」という柔らかいクッション材のような組織を持っています。
「変形性」という名の通り、その柔らかい部分が少しずつ変形を起こしてしまうことが大きな問題です。
温熱による刺激はその「変形」を早めるといったデメリットがあります。
神経の興奮が落ち着くので、一時的に痛みが落ち着くためなかなか手放せない方法ですがなるべく行わない方が安全です。
神経の興奮(痛み)を落ち着かせる方法としては、冷却が効果的であり、なおかつ上記のような関節の破壊を引き起こさない為、当院としては強くおすすめする方法です。
「関節を冷やす」という行為はしてはいけないことだと思われる方も多いかと思いますが、当院で症状を改善している患者様のほぼ全員が実践し、効果を出しています。
ついついやってしまいがちな「トントン」や「モミモミ」
変形性股関節の痛みは時に耐え難く、痛みを紛らわすような事をしてしまいがちです。
とくに多く行われるのが、「トントン」とお尻付近を自分の拳で叩く行為と
「モミモミ」とおしりから股関節を鷲掴みにして揉んでしまうといった行為です。
「トントン」では股関節に対して横から衝撃が加わりますので、関節自体にダメージが残ってしまいます。
1回1回はちいさな衝撃でも、何回も何回もその衝撃が加わることで関節の破壊や変形の促進が引き起こり、取り返しのつかない事になってしまう場合があります。
《小さな水滴でも繰り返し当たることで、岩さえも削ります》
「モミモミ」は股関節の前面部を強く押さえつけてしまいがちですから、太もも部分の筋繊維や靱帯を損傷したり、不必要に牽引性の刺激(引っ張るチカラ)が加わることで
股関節自体に力が入りづらくなったりして、危険を伴います。
なるべくこのページで紹介している安全な体操等を行い、無理な力を加えないように意識をすることが変形を止める手段でもあり、痛みを和らげるポイントでもあります。
まとめ
変形性股関節の改善法は様々ありますが、本当に必要なことはとても限られていてシンプルです。
その分、余計なことや間違ったことを行ってしまえばたちまち症状は悪化するとともに、変形も取り返しのつかない事になってしまう場合が本当に多いです。
中野区鷺宮の整骨院では、その人に必要な事を見極めた上での生活指導
自宅での体操やケア方法を施術と合わせてお伝えすることで患者さんをサポートしています。